アメリカ確定申告ガイド — 日本人が知るべき税金

アメリカでは毎年4月15日が確定申告(Tax Return)の期限。 日本とは仕組みが大きく異なり、連邦税と州税の二重構造、海外口座の報告義務(FBAR)など、 日本人が見落としがちなポイントがたくさんあります。正しく申告して、トラブルを未然に防ぎましょう。

📋 申告の概要・スケジュール

📅 申告期限: 4月15日(延長で10月15日)
🏛️ 連邦税: IRS(内国歳入庁)へ
🌴 CA州税: FTB(Franchise Tax Board)へ
💵 FBAR期限: 4月15日(自動延長10月15日)
1

1月末〜2月: W-2 / 1099受領

雇用主からW-2、フリーランスは1099-NEC、銀行から1099-INTが届く

2

2月〜3月: 申告書作成

ソフトウェアで自力作成、またはCPAに依頼

3

4月15日: 連邦税・州税・FBAR提出

電子申告(e-file)推奨。還付は通常2〜3週間で口座振込

🏛️ アメリカの税制構造

連邦所得税(Federal Income Tax)

累進課税で税率は10%〜37%。税率は課税所得(控除後)の各区分の部分にだけ適用され、所得全体に一律でかかるわけではありません。 2026年分(通常2027年に申告)の独身者の区分は、課税所得$12,400以下が10%、$12,400超が12%、$50,400超が22%、$105,700超が24%、$201,775超が32%、$256,225超が35%、$640,600超が37%。 Standard Deduction(標準控除)は2026年分で独身(および夫婦個別)$16,100、夫婦合算$32,200、世帯主$24,150。2025年分(2026年に申告)は独身$15,750、夫婦合算$31,500、世帯主$23,625です (出典: IRS)。 日本の「年末調整」に相当する仕組みはなく、全員が自分で申告します。

カリフォルニア州所得税(State Income Tax)

CA州の所得税は全米でもトップクラスの高さ。税率は1%〜13.3%の累進課税。 実際の税額は所得・申告区分・控除によって変わるため、最新の税率表はFTBの税率表・計算ツールで確認してください。

その他の税金

  • 🔹 Social Security Tax: 給与の6.2%(雇用主も同額負担)。課税対象の給与には年間上限があり、2026年は$184,500
  • 🔹 Medicare Tax: 給与の1.45%(雇用主も同額負担、上限なし)。給与が年$200,000を超える部分には追加で0.9%(Additional Medicare Tax、雇用主負担なし)(出典: IRS Topic 751)
  • 🔹 自営業・フリーランス: 給与ではなく自営業の純所得がある場合は、Social Security・Medicare相当分としてSelf-Employment Tax(15.3%)がかかり、計算方法も異なります(IRS Topic 554)
  • 🔹 Sales Tax(消費税): 表示価格に上乗せ。税率は市によって異なり、2026年10月1日時点でLA市・LA郡非法人地域は10.25%(CDTFAの税率表で市ごとに確認)
  • 🔹 Property Tax(固定資産税): 税額は物件の課税評価額(assessed value)と地域ごとの追加課税(local levies)で決まり、物件によって異なります。評価額はLA郡Assessorで、実際の税額は送付される税額通知書(property tax bill)で確認してください

📄 確定申告に必要な書類

  • ✅ SSN or ITIN: 納税者番号。SSNがない場合はITIN(W-7で申請)
  • ✅ W-2: 給与所得者は雇用主から受領(1月末まで)
  • ✅ 1099-NEC / 1099-MISC: フリーランス・副業収入
  • ✅ 1099-INT / 1099-DIV: 銀行利息・配当金
  • ✅ 前年の確定申告書: AGI(調整後総所得)が電子申告の本人確認に必要
  • ✅ 日本の所得証明: 日本での収入がある場合(源泉徴収票等)
  • ✅ 海外口座残高: FBAR報告用に各口座の年間最高残高

💻 申告方法

🖥️ 自力申告(ソフトウェア利用)

  • • TurboTax: 最もポピュラー。日本語対応なし。料金はプランや州申告の有無で異なるため公式サイトで確認
  • • H&R Block: 対面サポートも可能。料金はプランにより異なる
  • • IRS Free File: IRSの案内(2026年6月確認)ではAGI $89,000以下ならガイド付きソフトで無料申告可能。条件はIRS Free Fileで確認
  • • ⚠️ 海外口座(FBAR)やFATCAがある場合、ソフトだけでは対応しきれないことも

🧑‍💼 CPA(公認会計士)に依頼

  • • 日米両国の税制に詳しいCPAがベスト
  • • 費用は事務所・申告内容(日本の収入、海外口座報告の有無など)で異なるため、依頼前に書面で見積りと作業範囲を確認
  • • 3月に入ると混み合うため、2月中に依頼するのがおすすめ

🌏 FBAR・FATCA — 海外口座の報告

⚠️ 日本人が最も見落としやすいポイント。日本の銀行口座、証券口座、年金口座も報告対象です。 未申告の場合は民事罰・刑事罰の対象になり得ます。2023年の最高裁判決(Bittner v. United States)により、非故意の違反の罰金は口座ごとではなく報告書(年)ごとに課されます。 罰金の上限額は毎年インフレ調整され、故意の場合はさらに重くなります(IRS FBAR解説)。

FBAR(FinCEN Form 114)

  • 🔹 対象: U.S. person(米国の税務上の居住者等)で、海外口座の合計残高が年間で一度でも$10,000を超えた場合
  • 🔹 所得税申告とは別: 確定申告書(Form 1040)に添付するものではなく、別途電子提出が必要
  • 🔹 提出先: FinCEN(BSA E-Filing System)※IRSではない
  • 🔹 期限: 4月15日(自動延長で10月15日)
  • 🔹 報告内容: 口座番号、金融機関名、年間最高残高

FATCA(Form 8938)

  • 🔹 対象: 海外金融資産が独身で年末$50,000超 or 年中$75,000超
  • 🔹 提出先: IRS(確定申告書に添付)
  • 🔹 FBARとの違い: 閾値が高い、提出先が異なる、両方該当すれば両方提出

🧑‍💼 CPA・税務専門家の探し方

公式ディレクトリで探す・確認する

  • • IRS 有資格申告代理人ディレクトリ: Directory of Federal Tax Return Preparersで、地域内のCPA・Enrolled Agent・弁護士などIRSが認める資格保有者を検索
  • • CA州のCPAライセンス確認: DCA License Search(California Board of Accountancy)で、候補のCPAライセンスが有効か確認
  • • 選び方の手順: ① 日本語対応・日米税務の経験がある候補を知人の紹介や検索で複数挙げる → ② 上記でライセンス・資格を確認 → ③ 作業範囲(FBAR/Form 8938を含むか)と料金を書面で確認

CPA選びのポイント

  • • 日米両国の税務経験があるか確認(日本の年金・口座の扱いに慣れているか)
  • • FBAR/FATCA申告の実績があるか
  • • 初回相談の有無・費用は事務所ごとに確認。2〜3社比較がおすすめ
  • • 繁忙期(3〜4月)は予約が取りにくいため、1月中にコンタクトを

よくある質問

アメリカで収入がなくても確定申告は必要ですか?
申告義務の有無は、税務上の居住者区分(Resident Alien / Nonresident Alien)、所得の額と種類、申告ステータス(Filing Status)、年齢、被扶養者かどうかなどで決まります。ビザの種類やEADの有無そのものが基準ではありません。判定方法はIRSのPublication 501(居住者)・Publication 519(非居住者)や、IRSの「Do I Need to File a Tax Return?」ツールで確認し、個別の判断は税務専門家に相談してください。また、FBAR(海外口座報告)は所得税の申告とは別の手続きで、U.S. person(米国の税務上の居住者等)が持つ海外口座の合計残高が年中一度でも$10,000を超えた場合に、収入の有無にかかわらず提出が必要です。
日本の収入もアメリカで申告する必要がありますか?
はい。アメリカの居住者(税務上のResident Alien)は全世界所得を申告する義務があります。日本で納めた所得税は、条件を満たせばForeign Tax Credit(外国税額控除、Form 1116)の対象になり、状況によっては外国勤労所得の除外(Form 2555)を選べる場合もあります。ただし、対象となる税の種類や控除額の上限、除外した所得には税額控除が使えないなどの条件があり、二重課税が必ず全額解消されるとは限りません。日米租税条約の恩恵も条文ごとに適用条件があり、米国居住者には一般に適用が限られます。詳しくはIRSのForeign Tax Credit・Tax Treatiesの解説を確認し、税務専門家に相談してください。
確定申告を自分でやるのと会計士に頼むのはどちらがいい?
W-2のみのシンプルな給与所得者はTurboTaxなどのソフトで自力申告が可能(料金はソフト・プラン・州申告の有無で異なり、IRS Free Fileの条件に該当すれば無料)。日本の収入・海外口座・投資所得がある場合は日米両国の税制に詳しいCPAへの依頼をおすすめします。費用は事務所や申告内容で異なるため、依頼前に書面で見積りと作業範囲を確認しましょう。
FBARとFATCAの違いは何ですか?
FBAR(FinCEN Form 114)はU.S. personが持つ海外口座の合計残高が年間で一度でも$10,000を超えた場合に報告義務があり、所得税の申告とは別にFinCEN(財務省の機関)へ電子提出します。FATCA(Form 8938)は海外金融資産が一定額(独身で年末$50,000超 or 年中$75,000超)を超えた場合にIRSへ申告します。両方該当する場合は両方提出が必要です。

📚 関連ガイド: LA確定申告ガイド

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LocoPlace 編集部

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最終更新: 2026年10月1日(初版: 2026年3月27日)