アメリカの携帯、広告の月額と請求額が違う理由【2026年9月版】
アメリカの携帯料金は「いくらのプランを選ぶか」より「その金額に何が乗るか」で決まります。 このページの数字は、2026年9月10日にT-Mobile・AT&T・Verizon・Visible・Airaloの公式ページと、 FCC・CPUCの一次資料から取り直したものです。確認できなかった会社の料金は載せていません。
先に結論
- 🔹 大手3社の「安い月額」は、いずれも条件付きの金額です。AutoPay(自動引き落とし)、ペーパーレス請求、乗り換え、期間限定のクレジットのどれかが前提になっています。
- 🔹 表示価格がそのまま請求額になると公式に書いてあるのはVisibleだけです(各プランに「Taxes & fees included」の表記)。
- 🔹 T-Mobileが自社サイトに載せているFCC義務のラベル価格は、AutoPay割引を含まない価格だと明記されています。同じラベルに載っている手数料まで足すと、1回線あたり月$59.85〜$114.28(政府の税金は別)になります。
- 🔹 カリフォルニアの州サーチャージはパーセントではなく回線1本あたりの定額で、2026年9月1日から月$1.05です。
📋 各社を同じ土俵で比べられる、唯一の共通様式
アメリカでは、FCC(連邦通信委員会)が2024年4月10日から(加入回線10万以下の小規模事業者は2024年10月10日から)、 携帯のデータプランを含むすべての単独ブロードバンドプランについて、 販売時点で Broadband Facts というラベルの表示を義務づけています。 食品の栄養成分表示をまねた書式で、価格・初期割引かどうか・データ量・速度を同じ並びで示すものです。
ただし実務上の落とし穴があります。2026年9月10日に各社のプラン一覧ページをそのまま取得したところ、このラベルをHTMLに載せていた大手はT-Mobileだけでした(37件のラベルが埋め込まれています)。 AT&TとVerizonは価格をJavaScriptで描画するため、ページのHTMLには金額が入っていません。 つまり検索エンジンやAIが各社サイトから直接読み取れる価格は、実質的にT-Mobileのラベル価格だけです。
なお FCCは2026年7月の公開会合で、このラベル規則を簡素化する命令を承認済みです。 様式そのものが今後変わるため、ここに載せた「ラベルに何が書いてあるか」は2026年9月10日時点の観察です。
📡 T-Mobile — 公式ラベルが示す全価格
以下はT-Mobileが自社のプラン一覧ページに載せているFCCラベルの月額です。 ラベルには 「この月額は初期限定価格ではなく、年間契約も不要。AutoPayその他の割引は含まない」 と明記されています。 つまりこれはAutoPayを使わない場合の定価です。
| プラン | 1回線 | 2回線 | 3回線 | 4回線 | 5回線 |
|---|---|---|---|---|---|
| Experience Beyond 2.0 | $105 | $180 | $230 | $280 | $330 |
| Experience More 2.0 | $90 | $150 | $185 | $220 | $255 |
| Essentials 2.0 | $65 | $100 | $120 | $140 | $160 |
| Essentials Saver 2.0 | $55 | $90 | — | — | — |
テザリング容量はExperience Beyond 2.0が250GB、Experience More 2.0が60GB、Essentials系は3G相当の速度で無制限。 ラベルの実効速度はBeyond / Moreが下り144〜561 Mbps、Essentials系が127〜455 Mbps、 遅延はいずれも15〜27msと記載されています。
同じラベルに書いてある「上に乗るもの」
- • Regulatory programs / Telco recovery fee:$4.49/回線・月(T-Mobile自身が「政府が課す税ではない」と注記。内訳は音声回線でRPF $0.50・TRF $3.99)
- • 連邦・地方サーチャージ:通常$0.36〜4.79/回線・月(場所により変動)
- • 回線接続料:$35/回線(初回のみ)
- • 解約金:$0
- • 政府の税金:「場所による」としか書かれていません
| プラン(1回線) | ラベル価格 | 手数料を足した月額 |
|---|---|---|
| Essentials Saver 2.0 | $55 | $59.85〜$64.28 |
| Essentials 2.0 | $65 | $69.85〜$74.28 |
| Experience More 2.0 | $90 | $94.85〜$99.28 |
| Experience Beyond 2.0 | $105 | $109.85〜$114.28 |
右列はラベル価格+$4.49+$0.36〜4.79を足しただけの数字で、すべて同じラベルに載っている項目です。政府の税金は含みませんし、カリフォルニアのCPUCサーチャージ(後述)が T-Mobileの言う「連邦・地方サーチャージ$0.36〜4.79」の内側なのか外側なのかは公式には書かれていないため、 二重に足していません。初月はこれに$35が乗ります。 なおAutoPay割引後の金額はT-Mobileのページのソースには入っていません(ブラウザ上でのみ表示されます)。
🧾 AT&T と Verizon — 「$30」に付いている条件
AT&T:1回線$30から
AT&Tの公式ページは「unlimited は1回線$30から」と書いていますが、同じページの注記に条件が並んでいます。AT&T Value 2.0プラン、対象のAutoPay、ペーパーレス請求が必要で、各回線に新しい持ち込み端末(BYOD)を用意したうえで、最長36か月間の$5/月の請求クレジットが効いた後の金額、 そして税・手数料は別です。つまり実質的に3年間の期間限定価格です。 現行ラインナップは AT&T Value 2.0 / Extra 2.0 / Premium 2.0 / Elite 2.0 の4本です。
Verizon:Simplicity Plan $30/月
Verizonの一般向けトップに出ているのは Simplicity Plan で、$30/月と表示されています。 注記は 「AutoPayと$15/月の乗り換え割引の適用後。税・手数料は別」。 $15の乗り換え割引が前提なので、すでにVerizonを使っている人や乗り換えでない人はこの金額になりません。
従来のmyPlan(Unlimited Welcome / Plus / Ultimate)の標準料金も公開されていますが、公表されているのは3回線と4回線以上の1回線あたり単価だけです。 Welcomeが3回線$40・4回線以上$30、Plusが$55・$45、Ultimateが$70・$60。 いずれもAutoPayとペーパーレス請求が前提で、AutoPayを使わないと1回線あたり月$10高くなり、 3回線以上に付く$10/月のアカウントクレジットは36か月で終了します。1人1回線の標準料金は、このページには書かれていません。
※ VerizonのmyPlanページのURLは /plans/unlimited/myplan です。 推測しやすい /plans/myplan は404を返します。 さらにVerizonは404の中身をHTTP 200で返すページも持っているため、 「200が返った=そのページが存在する」とは限りません。
Visible — 表示価格がそのまま請求額になる唯一の例
VisibleはVerizonの5G / 4G LTE回線を使うオンライン専業ブランドです。 2026年9月10日時点で、3プランすべてのカードに「Taxes & fees included」と書かれています。 今回調べた中で、月額表示に税・手数料が含まれると明記していたのはここだけです。
| プラン | 通常価格 | コード適用時 | 内容 |
|---|---|---|---|
| Visible | $25/月 | $19/月 | 480p画質・テザリング無制限 |
| Visible+ | $35/月 | $29/月 | 5G Ultra Wideband・1080p・Global Pass 月1日分 |
| Visible+ Pro | $45/月 | $39/月 | 最上位 |
右から2列目はプロモコードSAVE6を使ったときの1年間の価格で、 公式サイトは「1年間の料金保証」と説明しています。恒常的な価格は通常価格の列です。 MVNOはサポートがオンライン中心なので、英語のやり取りに不安がある場合は、 渡米初期だけ窓口のある大手を使い、生活が落ち着いてから移る方法もあります。
🏛 上に乗る税金と手数料の正体
1. 事業者が自分で決めている手数料
T-Mobileの$4.49/回線がこれにあたります。同社は自社のラベルで 「政府が要求する税や課金ではない」と明記したうえで、音声回線ではRPF $0.50・TRF $3.99の内訳まで示しています。 名前が規制っぽくても、金額を決めているのは事業者です。
2. 連邦ユニバーサルサービス基金(USF)
FCCは四半期ごとに拠出率を公表しており、2026年第3四半期は0.388=38.8%です。 ただしこれは「州間(interstate)の利用者収入」に対する率で、請求額全体の38.8%ではありません。 実際に請求書へ転嫁される金額は、事業者が請求額のうちどれだけを州間分と見なすかで変わります。
※ 2026年9月10日時点で第4四半期の告示はまだ出ていません(FCCの一覧では2026年の第4四半期の欄が空欄)。 過去2年は9月11日・9月15日に出ているので、この38.8%は数日で置き換わる可能性があります。
3. カリフォルニア州のサーチャージ(定額)
CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)は2023年4月1日に、収入に対する率での徴収を廃止し、有効な回線1本につき定額を徴収する方式へ切り替えました(決定 D.22-10-021)。2026年9月1日から有効な金額は回線1本あたり月$1.05です。 直前は$0.90(2025年8月1日から)、その前は$1.11(2025年1月1日から)で、 固定電話・携帯(プリペイドもポストペイドも)・VoIPのすべてが対象です。
※ CPUCの同じページには8.359%といったパーセントの表も残っていますが、 それは2023年3月以前の廃止済みの旧方式の履歴です。 「カリフォルニアの通信税は約○%」という説明は、すでに存在しない仕組みを指しています。
📲 短期旅行者向けeSIM(Airalo)
AiraloのアメリカeSIMは、公式ページによると主回線はT-Mobileです。 到着前に購入してQRコードで開通でき、SIMの差し替えが要りません。 以下は2026年9月10日に公式ページが日本円で表示したデータ無制限パッケージです。
| 期間 | 価格 |
|---|---|
| 3日間 | ¥1,900 |
| 5日間 | ¥2,950 |
| 7日間 | ¥4,100 |
| 10日間 | ¥5,550 |
| 15日間 | ¥7,500 |
| 30日間 | ¥11,100 |
表示通貨はストアの国設定で変わります。同じパッケージでも、開く場所によってドル表示になることがあるため、 決済画面の通貨を必ず確認してください。当ページでは為替換算した金額は載せていません。 またデータ専用で米国の電話番号は付きません。通話はLINEやWhatsAppで代替する前提になります。 銀行や役所の2段階認証SMSを米国番号で受け取る必要がある場合は、在住者向けの回線が必要です。
📝 手続き方法(短期旅行者向け vs 在住者向け)
短期旅行者(1日〜1か月)
- 1. 端末のSIMロック解除・eSIM対応を確認
- 2. データeSIMを購入(決済画面の通貨を確認)
- 3. 到着前に設定、現地でAPN確認
- 4. 通話はLINE・WhatsApp中心で運用
在住者(1か月以上)
- 1. 最初はプリペイドまたはMVNOで開通(SSN不要)
- 2. 住所・銀行・SSNが整ったら本契約を比較
- 3. 比較するときはAutoPayを使うかどうかを先に決める(大手は使わないと1回線あたり月$10前後変わります)
- 4. 初月は回線接続料などの一時費用が乗るので、2か月目の請求額で判断する
よくある質問
アメリカの携帯プランは、広告に出ている月額をそのまま払えばいいのですか?
結局いちばん分かりやすいのはどこですか?
T-Mobileの1回線はいくらですか?
Verizonで1人1回線だといくらですか?
税金と手数料は具体的に何が乗るのですか?
カリフォルニアの通信税は請求額の何パーセントですか?
短期旅行ならいくらぐらいですか?
Mint MobileやUS Mobileはどうですか?
なぜ各社の価格をそのまま比べられないのですか?
渡米直後でSSNがなくても契約できますか?
短期旅行なら物理SIMとeSIMのどちらが便利ですか?
日本のキャリアの海外ローミングだけで生活できますか?
関連ページ
2026年9月10日更新
補足:今回確認できなかった事業者
🚫 今回確認できなかったこと
- • Mint Mobile と US Mobile の料金 — 2026年9月10日、両社のサイトは当方からのアクセスを403で拒否しました。これは当方のリクエストが断られたという事実であって、両社の料金についての情報ではありません。確認できない金額はこのページに書きません。
- • Verizonの1回線の標準料金 — 公表されているのは3回線と4回線以上の単価だけです。4回線の単価から1人分を推測すると割引を過大に見積もることになります。
- • カリフォルニア州の911サーチャージ — 金額を定めるCDTFAのページが同日403および404を返したため、金額を載せていません。
- • 日本の各キャリアの海外ローミング料金 — 今回は日本側の公式ページを確認していないため、金額を載せていません。
- • AutoPay適用後のT-Mobileの月額 — ページのHTMLには含まれておらず、ブラウザ上でのみ表示されます。
このページの以前の版について。2026年3月版は、大手3社とMVNOの月額を出典のない概算の幅で示し、 現行ではないプラン名を挙げ、カリフォルニアの通信費に対する州の徴収を率として説明していました。 今回、金額とプラン名は各社公式ページから取り直し、 州の徴収はCPUCが2023年に定額方式へ切り替えている点を反映して書き直しています。
補足:出典(2026年9月10日取得)
🔗 出典(すべて2026年9月10日取得)
- • T-Mobile Cell Phone Plans — FCC Broadband Facts ラベル(プラン別月額・手数料・速度)
- • AT&T Wireless Plans — 「$30/回線」の条件と現行ラインナップ
- • Verizon Simplicity Plan / Verizon myPlan — 標準料金とAutoPay条件
- • Visible Plans — 税・手数料込みの月額
- • Airalo United States eSIM — 短期パッケージ料金
- • FCC Broadband Consumer Labels — ラベル義務化の対象と時期、2026年7月の規則改定
- • FCC USF Contribution Factor — 四半期ごとの拠出率
- • CPUC Surcharge Rates — 回線あたり定額サーチャージの現行額と履歴
料金・キャンペーンは頻繁に変わります。契約前に必ず各社の公式ページで最新条件をご確認ください。 当ページの数値は seo/measure-us-mobile-plan-prices.mjs で全件を再取得・再検定できます。


