LA賃貸のデポジットは家賃1ヶ月分が上限
渡米前に一番読まれる数字は「初期費用」と「家賃相場」ですが、 そのどちらも、日本語の解説と公的機関が実際に公表している数字が食い違っています。 敷金の上限は州法が定め、家賃の値上げ幅は市・郡・州で3つの別々の上限があり、 家賃そのものは連邦政府がZIPコード単位で公表しています。 このページの金額・条文・期限は2026年9月16日に、 州法の条文、LA市住宅局、LA郡消費者・事業局、HUD、州不動産局の公表物を引き直して確認しました。
💰 デポジットの上限は家賃1ヶ月分
カリフォルニア州民法1950.5条(c)(1)の原文はこうです。
a landlord shall not demand or receive security, however denominated, in an amount or value in excess of an amount equal to one month’s rent, in addition to any rent for the first month paid on or before initial occupancy(家主は、名目を問わず、初回入居時までに支払われる初月家賃とは別に、家賃1ヶ月分を超える額の保証金を要求してはならず、受け取ってもならない)
「however denominated(名目を問わず)」がこの条文の要点です。 セキュリティデポジット、ペットデポジット、鍵デポジット、クリーニング前払いと名前を分けても、合算して家賃1ヶ月分を超えることはできません。 家具付きかどうかで上限が変わる古い区分は、この改正で消えています。 同条(c)(6)は「この項は2024年7月1日より前に家主が徴収または要求した保証金には適用しない」と、 切り替えの日付を明示しています。
2ヶ月分まで認められる唯一の例外(同条(c)(5)(A))
- 家主が自然人、または構成員全員が自然人であるLLCであること
- その家主が所有する賃貸用住宅が2件以内で、貸室の合計が4戸以内であること
- 上の2つを満たしても、借主が軍人(service member)の場合は例外が適用されない(同(c)(5)(B))
大手の管理会社が運営するアパートメントはこの例外に当てはまりません。 入居時に渡す金額が初月家賃+家賃1ヶ月分を超えているなら、 まず家主が何者かを確かめる場面です。
「クレジットがないから多めに積む」は、条文の側に用意されていない
1950.5条(c)(1)の上限は、借主の信用情報を条件にしていません。 条文が信用履歴による増額に触れているのは(c)(4)の1箇所だけで、そこでも対象は軍人に限られ、2025年4月1日以降は書面での金額・理由の提示と、 6ヶ月滞納がなければ超過分を返すことまで義務づけられています。 渡米直後に実際に効く材料は、雇用主発行のレター、銀行残高の証明、 そして連帯保証人です(1950.6条(j)は保証人・連帯署名人も「申請者」に含めています)。
📈 家賃の値上げ上限は管轄で3つに分かれる
「LAの家賃は毎年どれくらい上がるか」は相場の話ではなく、物件がどの条例の下にあるかの話です。 同じ$2,500の部屋でも、更新時に足せる上限は3倍以上変わります。
| 対象 | 年間の上限 | 家賃$2,500なら | 出典 |
|---|---|---|---|
| LA市のRSO対象物件1978年10月1日以前に建てられた賃貸住宅が中心。値上げは12ヶ月に1回。ZIMASで住所ごとに判定できる。 | 年3%(2026年7月1日〜2027年6月30日) | +$75 | LAHD |
| LA郡の未編入地域(RSTPO対象)小規模家主と高級物件には例外がある。移動式住宅用地は年3%。 | 年1.919%(2027年6月30日まで) | +$48 | LA郡DCBA |
| 上記以外でAB 1482の対象になる物件「5%+CPI 3.7%」と10%の低いほう。CPIは毎年4月の数値で入れ替わるため、8月1日に変わる。 | 年8.7%(2026年8月1日から) | +$217 | 州法+DCBA |
自分の部屋がRSO対象かどうかは、LA市のZIMASに住所を入れ、Housingタブを開くと表示されます(LAHDの案内どおりの手順です)。 AB 1482側の8.7%は、民法1947.12条(a)(1)の「5%+生計費変動率」か10%の低いほう、という式から出ます。 生計費変動率は同条(g)でロサンゼルス・ロングビーチ・アナハイム都市圏のCPI-Uと指定され、 同条(g)(3)(B)(ii)で8月1日以降に効く値上げには当年4月と前年4月の変化率を使い、 (iii)で0.1%刻みに丸めると決められています。労働統計局の公表値は 2025年4月が342.565、2026年4月が355.166で、変化率は3.6784%、 丸めて3.7%。5+3.7=8.7%で、10%より低いのでこちらが上限になります。 LA郡DCBAも2026年8月5日付の解説で同じ3.7%・8.7%を公表しています。
市の公式ページに、2年前の上限が残っている(2026年9月16日時点)
LA市住宅局のRenter Protectionsページは、RSOの年間値上げ率については最新(2026年7月1日〜2027年6月30日で3%)を掲げている一方、 同じページのJust Cause条例のQ&Aでは、AB 1482の上限を「Effective August 1, 2024 to July 31, 2025, the maximum allowable increase is 8.9%」と、2つ前の年度のまま載せています。現在効いているのは2026年8月1日からの8.7%です。 市と郡で数字が食い違っているときは、AB 1482は州法なので、 計算の根拠(4月のCPI-U)まで示している側を確認してください。 これは2026年9月16日に取得した時点の観測であり、市が更新すれば解消します。
LA市のRSOは制度そのものも動いています。LAHDは、市議会が年間値上げ率の算式を 「CPIの平均の100%」から90%に改め、 2026年2月2日以降は下限1%・上限4%(従来は下限3%・上限8%)になること、 光熱費を理由とする上乗せができなくなること、 扶養家族の追加を理由とする10%の上乗せが認められなくなることを公表しています。
🗺️ ZIPコード別の公式家賃(HUD)
アメリカには「公的な家賃相場」があります。住宅都市開発省(HUD)がZIPコード単位で公表するSmall Area Fair Market Rent(SAFMR)です。 連邦規則24 CFR 888.113(a)は、これを「rent plus the cost of utilities, except telephone(電話を除く光熱費込みの家賃)」の40パーセンタイル、つまり直近に引っ越した人が住む標準的な住戸のうち、下から40%が収まる金額と定義しています。 平均でも中央値でもなく、募集中の物件の言い値でもありません。
| エリア | ZIP | 1BR現行 → 10/1〜 | 2BR現行 → 10/1〜 |
|---|---|---|---|
| Little Tokyo / DTLA | 90012 | $2,450 → $2,550 | $3,050 → $3,150 |
| DTLA(Arts District周辺) | 90021 | $1,720 → $1,960 | $2,150 → $2,420 |
| DTLA(South Park) | 90015 | $3,490 → $3,610 | $4,350 → $4,450 |
| Torrance(旧市街) | 90501 | $2,300 → $2,450 | $2,870 → $3,020 |
| Torrance(西) | 90503 | $2,830 → $2,930 | $3,530 → $3,620 |
| Torrance(北) | 90504 | $2,700 → $2,800 | $3,370 → $3,450 |
| Torrance(南) | 90505 | $2,780 → $2,930 | $3,470 → $3,620 |
| Gardena | 90247 | $2,110 → $2,200 | $2,630 → $2,710 |
| Gardena(西) | 90249 | $2,000 → $2,140 | $2,500 → $2,640 |
| Santa Monica(中心) | 90401 | $3,330 → $3,370 | $4,150 → $4,160 |
| Santa Monica(東) | 90404 | $2,660 → $2,880 | $3,320 → $3,550 |
| West LA / Sawtelle | 90025 | $3,440 → $3,550 | $4,290 → $4,380 |
| Mar Vista / Culver City寄り | 90066 | $2,840 → $2,980 | $3,540 → $3,680 |
| Beverly Hills | 90210 | $3,490 → $3,610 | $4,350 → $4,450 |
| West Hollywood | 90046 | $2,930 → $3,100 | $3,660 → $3,830 |
| Glendale(中心) | 91203 | $2,690 → $2,800 | $3,350 → $3,460 |
| Glendale(南) | 91205 | $2,480 → $2,600 | $3,090 → $3,210 |
| Pasadena(中心) | 91101 | $3,070 → $3,130 | $3,830 → $3,860 |
| Pasadena(北西) | 91103 | $2,250 → $2,540 | $2,800 → $3,130 |
| Irvine(Woodbridge) | 92604 | $3,280 → $3,080 | $3,870 → $3,610 |
| Irvine(Spectrum) | 92618 | $3,800 → $3,710 | $4,480 → $4,340 |
| Irvine(Northwood) | 92620 | $3,660 → $3,480 | $4,310 → $4,080 |
紫の行はオレンジ郡で、HUDの区域が別(Santa Ana-Anaheim-Irvine, CA HUD Metro FMR Area)です。 それ以外はLos Angeles-Long Beach-Glendale, CA HUD Metro FMR Area。区域をまたいで平均を取ることはできません。出典はHUD FY2027 Small Area FMRsと改定FY2026の各データファイル(2026年9月16日取得)。
この表から読めること 1 —— 「ダウンタウン」は1つの相場ではない
10月1日以降の1BRで、90021は$1,960、90015は$3,610。 歩ける距離のZIPコード同士で1.8倍開きます。 リトルトーキョーを含む90012は$2,550で、その中間です。 「DTLAの家賃」と一括りにした数字は、どのZIPを指しているかで意味が変わります。
この表から読めること 2 —— トーランスとガーデナは同じ枠に入らない
10月1日以降の1BRで、トーランスは$2,450〜$2,930、ガーデナは$2,140〜$2,200。トーランスで最も安いZIPでも、ガーデナで最も高いZIPより$250高く、 上端どうしでは$730の差があります。 隣接していても両市のレンジは1ドルも重ならないので、 「サウスベイ」としてひとつの幅にまとめると、どちらを選んでも実際の金額から外れます。
この表から読めること 3 —— アーバインは下がっている
掲載した3つのZIPはいずれも1BRが前年度より下がりました(92604は$3,280→$3,080、 92620は$3,660→$3,480、92618は$3,800→$3,710)。 当方が確認したアーバインの9ZIPのうち8つでFY2027の1BRがFY2026を下回っています。 「毎年上がる」という前提でアーバインの予算を組むと、実際の公表値と逆方向になります。
この数字に光熱費を足さないでください
24 CFR 888.113(a)の定義どおり、SAFMRは電話を除く光熱費を含んだ金額です。 家賃と別に電気・ガス・水道を払う物件なら、 表の金額から光熱費を引いた額が、比較すべき「家賃だけ」の水準になります。 インターネットとケーブルは光熱費に含まれないため、これは別途かかります。
📝 申込料は条件つきで返ってくる
民法1950.6条は、申込料を「払ったら終わり」の費用として扱っていません。
- (c)(2) 家主が申込料を取れるのは、次のどちらかの審査方式を提示した場合だけです。(A) 先着順に審査し、審査に至らなかった申請者へ7日以内に返金する(本人が望めば別室の申込へ充当も可)。 ただし審査したうえで自社基準に合わず落とした人への返金義務はありません。
(B) 理由を問わず、入居者決定から7日以内または申請から30日以内の早いほうで、 選ばれなかった全員に全額返す。 - (c)(1) 空室がない、または合理的な期間内に空かないと知っている(知り得た)とき、家主は申込料を取れません。
- (e) 照会も信用調査も実際に行わなかったなら、未使用分を返さなければなりません。
- (f) 申込料を払った人には、家主が信用情報レポートを受領してから7日以内にその写しを交付しなければなりません(郵送・メール・手渡し)。 渡米直後で自分の信用情報を初めて見る機会になります。
上限額は、条文にはあるが、どこにも公表されていない
1950.6条(b)は、申込料は実費(調査サービスや信用情報の費用と、家主が費やした時間の合理的価値)を超えてはならず、 かつ「1人あたり30ドルを超えてはならない」としたうえで、 この30ドルを1998年1月1日以降、消費者物価指数の上昇に応じて調整できると定めています。 問題は、条文が指数の種類を特定しておらず、調整後の現在額をカリフォルニアのどの機関も公表していないことです。 労働統計局の全米都市平均CPI-Uで機械的に計算すると1998年1月の161.6が2026年8月に334.980で約2.073倍、$30は約$62。 ロサンゼルス都市圏のCPI-Uを使うと161.0が356.993で約2.217倍、約$67になります。 これは当方の計算であって公式値ではありません。確実に言えるのは、 実際に請求できる額の天井は(b)の実費で抑えられており、 請求された額が実費を超えていないかは(e)と(f)の返金・開示義務から追えるということです。
🔑 退去時 —— 21日・写真・清掃費
21暦日以内に、明細書と残額
1950.5条(h)(1)は、退去から21暦日以内に、 保証金の使途と金額を示した明細書を交付し、残額を返すことを家主に義務づけています。 修繕が21日以内に終わらない、あるいは業者の書類が手元に届かない場合は、 善意の見積額を差し引いて明細に付すことが認められますが、 その場合も修繕完了または書類受領から14暦日以内に本来の手続きを完了しなければなりません。
写真を撮る義務は、家主の側にもある
入居時に自分で部屋の状態を記録しておくのは有効ですが、 1950.5条(g)は家主にも義務を課しています —— 部屋の返還後、修繕や清掃に着手する前に写真を撮り、 さらにそれらが完了した後にも写真を撮り、明細書とともに借主へ渡すこと。 天引きの根拠を、家主が画像で示さなければならない構造です。
プロ清掃費の一律天引きは前提ではない
1950.5条(e)(C)の原文は「The landlord shall not require a tenant to pay for, or assert a claim against the tenant or the security for, professional carpet cleaning or other professional cleaning services, unless reasonably necessary to return the premises to the condition it was in at the inception of tenancy, exclusive of ordinary wear and tear.」。通常の損耗を除いて入居時の状態に戻すために合理的に必要な場合を除き、 プロのカーペットクリーニング等の費用を借主に負担させてはならない、という定めです。
退去前の事前検査を請求できる
1950.5条(f)(1)により、家主は、いずれかが解約を通知した後(または賃貸期間の終了前)の合理的な時期に、借主が事前検査(initial inspection)を請求できることとその場に立ち会う権利があることを書面で知らせなければなりません。 検査は終了日の2週間前より後に行われ、日時は48時間前までに書面で通知されます。 目的は、指摘された箇所を退去前に直して天引きを避ける機会を借主に与えることだと条文に明記されています。 請求しなければ、家主のこの義務は消滅します。
解約通知の日数は、出す側で違う
期間の定めのない賃貸について、民法1946.1条(b)は、家主には少なくとも60日前の通知を求める一方、借主には「その定期賃貸の期間と少なくとも同じ長さ」の通知を求めています。 月極なら借主側は30日です。ただし同条(c)により、借主の居住が1年未満の場合は家主側も30日でよく、 同条(d)は、売却のためのエスクローが設定されているなど一定の条件をすべて満たす場合にも 家主側を30日としています。「30〜60日」という1つの幅ではなく、誰が出す通知か・何年住んだかで決まります。
🤝 エージェントの免許を確かめる
カリフォルニアで不動産の仲介・賃貸斡旋を業として行うには、州不動産局(DRE)の免許が要ります。 DREは公開免許検索を無料で提供しており、氏名(Last, First)・会社名・免許番号のいずれかで引けます。 検索ページ自体に、DREのこの掲示があります。
DRE is aware of fraudulent attempts by unlicensed persons to use the names and/or information of real estate licensees to illegally engage in real estate licensed activities.(DREは、無免許の者が実在する不動産免許保持者の氏名や情報を使って違法に不動産業を行おうとする事例を把握しています)
DREが示している確認手順(消費者向け警告 2013年10月)
- 連絡してきた相手の氏名を聞き、DREのサイトで引く
- 連絡先は相手から教わった番号ではなく、DREに登録されている事業所の番号を自分で調べてかけ直す
- その番号で、本人が実在し、そこで働いていて、実際に連絡してきたのかを確認する
- 可能なら事業所で対面する。サイトの写真・電話番号と最初の接触の情報が一致するか照合する
同じ文書は、サービス提供前の前払金(advance fee)・現金払い・送金(wire transfer)の要求を いずれも詐欺の兆候として挙げています。 なお申込料は例外で、1950.6条(k)が「申込料は不動産法10026条にいう前払金には当たらない」と定めています。 また、ウェブサイト・メールアドレス・「事業所住所」は費用をかけずに作れると警告文そのものが述べており、サイトがあることは免許の証拠になりません。
旧版が挙げていた不動産会社2社を削除しました
このページの旧版は、日本語対応の不動産会社として2つの社名を挙げていました。 2026年9月16日にDREの公開免許検索でその社名を引いたところ、いずれも「No matching public record was found」が返りました。 姓だけでの検索も行い、該当する姓の免許保持者は101件と84件見つかりましたが、そこに旧版の社名に対応する法人・DBAはありませんでした (唯一近い登録は、モントレーパークの取消済みDBA1件です)。 免許保持者の個人は南ベイにも複数在籍しているため、その姓の日系エージェントが存在しない、という意味ではありません。 当方が言えるのは、旧版が載せていた社名で公開記録に到達できないということだけなので、 社名の掲載をやめ、上の確認手順に置き換えました。 カリフォルニア州務長官の法人登記検索は当方の取得を遮断しており、法人としての実在は確認できていません。
よくある質問
ロサンゼルスの賃貸で、デポジット(敷金)はいくら請求されますか?
カリフォルニア州民法1950.5条(c)(1)は「家主は、名目を問わず、家賃1ヶ月分を超える額の保証金を要求してはならず、受け取ってもならない」と定めています。初月家賃は別に払うので、入居時に渡すのは原則「初月家賃+家賃1ヶ月分」です。例外は同条(c)(5)(A)の1つだけで、①家主が自然人、または構成員全員が自然人であるLLCで、かつ②賃貸用の住宅を2件以内、貸室数の合計が4戸以内しか所有していない場合に限り2ヶ月分まで認められます。この例外も、借主が軍人(service member)の場合には適用されません(同(c)(5)(B))。家具の有無で上限が変わる古い規定は廃止されており、同条(c)(6)は「この項は2024年7月1日より前に家主が徴収または要求した保証金には適用しない」として、それ以降の契約に新しい上限がかかることを明示しています。現行条文はStats. 2025, Ch. 340 (AB 414)による改正で2026年1月1日施行です(2026年9月16日に州法原文で確認)。
クレジットヒストリーがありません。デポジットを多めに積めば審査に通りますか?
家主の側にその選択肢がありません。1950.5条(c)(1)の上限は借主の信用情報を条件にしておらず、クレジットスコアがないことを理由に上限を超える保証金を要求することは認められていません。条文が信用履歴による増額に触れているのは(c)(4)の1箇所だけで、そこでも対象は軍人に限られ、2025年4月1日以降、標準額や広告額より高い保証金を課す場合は契約署名日までに書面で金額と理由を示し、6ヶ月の滞納がなければ超過分を返すことが義務づけられています。つまり「数ヶ月分を前払いして通す」という日本語でよく見る方法は、現行法では家主が受け取れない金額の話になっています。渡米直後に提示できるものとしては、雇用主発行のレター、銀行残高、連帯保証人(cosignor。1950.6条(j)は保証人・連帯署名人も「申請者」に含めます)などが残ります(2026年9月16日に州法原文で確認)。
家賃は毎年どれくらい上がりますか?
上限は3つあり、どれが効くかは物件の管轄と築年で決まります。①LA市のRent Stabilization Ordinance(RSO)対象なら、LAHDが公表する年間値上げ率で、2026年7月1日から2027年6月30日までは3%です。RSOの値上げは12ヶ月に1回だけ。②LA郡の未編入地域でRent Stabilization and Tenant Protections Ordinance対象なら、2027年6月30日までは1.919%です。③それ以外の多くの物件は州のAB 1482(民法1947.12条)で「5%+生計費変動率」か10%の低いほうとなり、LA郡消費者・事業局(DCBA)は2026年8月5日付で「今年のCPIは3.7%、2026年8月1日から上限は8.7%」と公表しています。家賃$2,500なら、同じ1年でRSOは+$75、郡未編入地域は+$48、AB 1482は+$217と3倍以上開きます。自分の物件がRSO対象かはLA市のZIMAS(zimas.lacity.org)で住所を入れ、Housingタブで確認できます(2026年9月16日にLAHD・DCBA・州法原文で確認)。
申込料(Application Fee)は返ってきますか?
条件つきで返ります。民法1950.6条(c)(2)は、家主が申込料を取るには2つの審査方式のいずれかを提示しなければならないと定めます。(A)先着順に審査し、審査に至らなかった申請者には7日以内に返金する方式(申請者の希望で別の部屋の申込へ充当も可)か、(B)理由を問わず、入居者決定から7日以内または申請から30日以内の早いほうで、選ばれなかった全員に全額返す方式です。(A)を選んだ家主は、審査したうえで自社の基準に合わずに落とした人には返金義務を負いません。加えて同条(e)は、信用調査も照会も実際に行わなかった場合は未使用分の返金を義務づけ、同条(f)は、申込料を払った人に対し、家主が信用情報レポートを受け取ってから7日以内にその写しを交付することを義務づけています。金額の上限は同条(b)で「1人あたり30ドルを超えてはならない」とされ、1998年1月1日以降は消費者物価指数の上昇に応じて調整できるとされています(2026年9月16日に州法原文で確認)。
退去時にデポジットはどれくらい返ってきますか。掃除代は引かれますか?
民法1950.5条(h)(1)は、退去から21暦日以内に、家主が保証金の内訳を示した明細書を交付し、残額を返すことを義務づけています。同条(e)(C)は「通常の損耗を除き、入居時の状態に戻すために合理的に必要な場合を除いて、家主はプロによるカーペットクリーニングその他の専門清掃の費用を借主に負担させてはならない」と定めており、清掃費の一律天引きは前提ではありません。同条(g)は家主の側に写真の義務も置き、部屋の返還後・修繕や清掃の着手前と、その完了後の両方で写真を撮り、明細書とともに借主へ渡すこととしています。さらに同条(f)(1)は、借主が希望すれば退去前の事前検査(initial inspection)を受けられ、家主は書面でその権利を知らせ、48時間前までに日時を通知することとしています。指摘された箇所を退去前に直せば天引きを避けられる、という設計です(2026年9月16日に州法原文で確認)。
日系の不動産エージェントを名乗る相手が本物かどうか、どう確かめますか?
カリフォルニア州不動産局(DRE)の公開免許検索(www2.dre.ca.gov/PublicASP/pplinfo.asp)で、氏名・会社名・免許番号のいずれかを入れて照会します。DREはこの検索ページ自体に「DREは、無免許の者が実在する不動産免許保持者の氏名や情報を使って違法に不動産業を行おうとする事例を把握しています」と掲示しています。DREの消費者向け警告(2013年10月)は、ウェブサイトやメールアドレスや「事業所住所」は費用をかけずに作れるとしたうえで、相手の氏名をDREのサイトで引き、サイトに載っている番号に自分からかけ直して本人と話し、事業所で対面する、という確認手順を示しています。同じ文書は、サービス提供前の前払金(advance fee)・現金払い・送金(wire transfer)の要求はいずれも詐欺の兆候だと明記しています。なお申込料については、民法1950.6条(k)が「申込料は不動産法10026条にいう前払金には当たらない」と定めており、申込料の支払いはこの警告の対象外です(2026年9月16日にDRE公式で確認)。
📚 出典(すべて2026年9月16日取得)
- カリフォルニア州民法 1950.5条・1950.6条・1946.1条・1947.12条
- Renter Protections — Los Angeles Housing Department
- Understanding Rent Increases in Los Angeles — LA County DCBA(2026年8月5日付)
- Fair Market Rents — HUD User(FY2027 SAFMR: 91 FR 56156/改定FY2026: 91 FR 21301)と 24 CFR 888.113
- 米国労働統計局 CPI-U(系列 CUURS49ASA0 = ロサンゼルス・ロングビーチ・アナハイム都市圏、CUUR0000SA0 = 全米都市平均)
- Public License Lookup — California Department of Real Estateと同局の消費者向け警告(2013年10月)
関連ページ
最終更新: 2026年9月16日
補足:旧版の訂正記録
2026年9月16日 訂正
このページの旧版は、入居時に必要な保証金の月数を、州法が定める上限より多い幅で案内していました。 さらに、クレジットヒストリーがない人には保証金を上乗せすれば審査に通ると書いていましたが、 上乗せは家主の側が受け取れない金額であり、審査を通す方法として成立しません。 あわせて次の記述を削除しました ——出典のない家賃の目安表(後述のHUDの公表値と照合したところ、 グレンデールとパサデナでは提示していた幅の上端が公的な下限を下回っていました)、出典のない年間上昇率、出典のない申込料の上限、州不動産局の公開免許記録に該当のない社名で紹介していた不動産会社2社、市をまたぐ治安の比較(公的な犯罪統計は市ごとに別の機関が出しており、横断比較のできる公式データを当方は入手できていません)。 本文の更新日表示と構造化データの更新日が半年ずれていた不整合も直しています。
補足:公式が出していないこと
❓ 公式が出していないこと
- 申込料の現在の上限額。条文は$30をCPIで調整すると定めるだけで、指数の種類も、 調整後の金額も、カリフォルニアのどの機関も公表していません。
- 市をまたぐ治安の比較。犯罪統計は市ごとに別の機関が公表しており、 トーランス・ガーデナ・アーバインを同じ基準で並べられる公式データを当方は入手できていません。 LA市内についてはLAPDの公開データが使えます。
- レンター保険の加入義務。州法上の一律の義務はなく、 加入を求めるかどうかは個々の賃貸借契約の条項によります。契約書で確認してください。
- 旧版が挙げていた不動産会社2社の法人としての実在。DREの公開免許記録に該当がないことは確認しましたが、 州務長官の法人登記検索は当方の取得を遮断しており(HTTP 429)、そこまでは確かめられていません。
- 審査の通りやすさ。家主ごとの内部基準(収入倍率、必要書類、保証人の可否)は公表物ではありません。 このページは、家主ができないことが条文で決まっている範囲だけを書いています。


