この記事の要点
アメリカから日本へ帰国するとき、実際に日程を決めているのは航空券ではなく、公的機関が公表している締切です。LAで暮らしてきた人に効くものを、締切が早い順に並べます。数字はすべて本文の一次情報リンクで確認できます。
| いつ | 何が締切か | 根拠 |
|---|---|---|
| 出発の約7か月前 | 犬・猫の狂犬病予防注射(1回目)。ここから日本到着まで最短210日 | 動物検疫所 |
| 到着の40日前まで | 動物検疫所への輸入届出。これより後は原則受け付けられない | 動物検疫所 |
| 出発の30日前〜14日前 | IRSの出国許可(sailing permit)。この16日間より前には申請できない | IRS |
| アメリカを出る前 | USPSの転送届。郵便局の窓口で本人確認が必要 | USPS |
| 売却・譲渡から5暦日以内 | DMVへの名義移転・責任解除通知(REG 138) | California DMV |
| 日本に入国したその場 | 「携帯品・別送品申告書」を2通提出。帰国後は申告できない | 税関 |
| 転入した日から14日以内 | 転入届 | 住民基本台帳法第22条 |
このうち、日本に着いてからでも出せるのは、転入届と在留届の帰国・転出届だけです。ほかの5つは、期限を過ぎた時点で選択肢そのものが消えます。
ペットを連れて帰るなら、逆算は7か月前から
犬・猫を日本に入れる手続きは、動物検疫所が7ステップで公表しています。カリフォルニアからの場合、次の順番と日数が固定されます。
- マイクロチップ装着(ISO 11784/11785 準拠、15桁)
- 狂犬病予防注射1回目(生後91日以上、マイクロチップ装着後)
- 狂犬病予防注射2回目(1回目から30日以上あける)
- 狂犬病抗体検査の採血(2回目と同日でも可)。抗体価 0.5 IU/ml 以上
- 採血日から180日以上の待機
- 出国前10日以内の臨床検査
- 輸出国政府機関発行の証明書(Form AC)
3から5を足すと、注射1回目から日本到着まで最短210日、およそ7か月です。
ここで見落としやすい点が3つあります。
180日は「採血した日」から数えます。検査結果が出た日ではありません。逆に言えば、結果を待つ間も待機期間は進みます。
待機が足りないまま到着すると、不足日数のあいだ動物検疫所の係留施設に留め置かれます(最長180日)。飛行機に乗れないのではなく、日本で預けることになります。
カリフォルニアは「指定地域」ではありません。動物検疫所が指定地域として挙げているのはアイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6つだけです。同じアメリカでも、ハワイ・グアムからの帰国とカリフォルニアからの帰国は、まったく別の手続きになります。「アメリカからなら大丈夫」と書かれた説明は、この6地域の話と混ざっている可能性があります。
届出は、到着予定港の動物検疫所へ到着の40日前まで。動物検疫所は「40日前を切った届出は原則として受け付けない」と明記しています。さらに、届出後に到着日を前倒しすること、頭数を増やすこと、別の動物に差し替えることは原則認められない、ともしています。帰国日が動く可能性があるなら、届出のタイミングは慎重に決めてください。犬については、入国できる空港・海港も指定されています。
罰則も公表されています。動物検疫所によれば、違反した場合、犬は家畜伝染病予防法に基づき3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、猫は狂犬病予防法に基づき30万円以下の罰金です。
IRSの出国許可は、申請できる期間が16日しかない
これは日本語の帰国ガイドでほとんど触れられていない手続きです。IRSは、出国許可(sailing permit / departure permit)について「a document most aliens must secure from the Internal Revenue Service (IRS) before leaving the United States」と書いています。Form 1040-C または Form 2063 を提出し、税務上の義務を清算したことの証明を受け取る、という手続きです。
タイミングが独特です。IRSは「出発の少なくとも2週間前までに取得すること」と「予定出発日の30日前より early には申請できないこと」を同時に定めています。つまり、申請できるのは出発の30日前から14日前までの16日間しかありません。しかもローカルオフィスでの予約が必要で、IRS自身が「時期によっては、この2〜4週間の申請期間内に予約が取れないオフィスもある」と注意書きを添えています。予約電話は 844-545-5640(現地時間 7:00〜19:00)です。
免除される人の一覧も公表されています。IRSが挙げているのは、外交官とその家族、F-1/F-2/H-3/H-4/J-1/J-2/Q-1(学生・実習生・交流訪問者とその配偶者・子。かつ米国源泉所得が限定された範囲内であること)、M-1/M-2、観光のB-2、90日以内の商用B-1、通過、国境通勤者、軍事訓練生などです。H-1B、L-1、E-2、O-1、TN はこの一覧に挙がっていません。LAで働いてきた日本人の多くが、免除リストの外側にいることになります。
あわせて押さえておく点が3つあります。
Form 1040-C は年次の確定申告ではありません。IRSは「Form 1040-C is not an annual U.S. income tax return」と明記しており、必要なら別途 Form 1040 または 1040-NR を出す必要があります。1040-C で払った税は年次申告で控除されます。
還付は出国時には受け取れません。過払いになっていても、その場では返ってきません。年末に年次申告を出して受け取る形になります。銀行口座を早く閉じない方がよいのは、この構造のためです。
グリーンカード保持者には別の手続きがあります。IRSは、放棄の予定があり、直近15課税年度のうち8年以上永住権を持っていた場合、国土安全保障省への通知と Form 8854 の提出が必要だとしています。
なお、この規定が実務上どの程度求められているかについて、IRSは何も公表していません。当サイトも運用実態については確認できていません。ここに書けるのは「IRSが自らこう公表している」ということだけです。
USPSの転送届は、アメリカを出た後では出せない
これは当サイトが以前このページで書いていた内容の訂正です(後述)。
USPSは、国外への引越しについてこう書いています。「If you're going to move outside the United States, before you leave the U.S., you must go to a Post Office location to verify your identity and submit your change of address request in person.」——オンラインでは完結せず、郵便局の窓口での本人確認が必要です。
さらに決定的な一文が続きます。「If you need to verify your identity in person, you can only do so at Post Office locations in the 50 states and Puerto Rico. If you are outside of the U.S., you cannot verify your identity in-person and won't be able to submit a change of address with USPS.」——アメリカを出てしまうと、転送届はもう出せません。日本に着いてから「そういえば」と思い出しても、手段が残っていません。
転送されるものの範囲も限られています。郵便規則である Domestic Mail Manual 507 の 1.5.1 は、国外の住所への転送対象を「First-Class Mail and Priority Mail cards and unregistered letters that do not appear to contain merchandise」と定めています。書留や、中身が品物に見えるものは、国外には転送されません。銀行のカードや再発行書類を転送で受け取るつもりの計画は、ここで崩れます。
期間も決まっています。USPSによれば標準の転送は12か月、有料の延長は6・12・18か月で、最長18か月、延長分はキャンセルも返金もできません。そして転送期間が終わったあと、USPSは6か月間、差出人に返送します——そのとき、あなたの新しい住所が書かれたラベルが貼られます。日本の自宅住所を知られたくない相手がいる場合は、この点を踏まえて転送先を決めてください。
船便を出す人が、空港で必ず提出する紙がある
家財を船便や航空便で先に送る(=別送品にする)なら、これが最重要です。
税関は、入国(帰国)時に「携帯品・別送品申告書」を提出するよう求めています。提出は2通です。1通に確認印が押されて返され、荷物を受け取るときの税関手続きに使います。数か国から別送した場合でも2通です。用紙は空港・港の税関に置いてあるほか、税関様式C第5360号として印刷もできます。
そして、次の一文が効いてきます。「入国(帰国)後は別送品の申告はできません」。申告を忘れた場合や、確認印を受けた申告書を紛失した場合は、一般の貿易貨物と同じ輸入手続きが必要になる、と税関は書いています。荷物はまだ太平洋の上でも、紙は入国したその日に出さなければなりません。
荷物側の表示も条件です。税関は、外装と税関告知書・送り状に「別送品(Unaccompanied Baggage)」と明示し、入国者本人を名宛人にするよう求めています。表示がないと、宅配業者が別送品と知らないまま通関を終えてしまい、免税枠が残っていても使えなくなる、という具体的な失敗例まで挙げています。
「免税20万円」と「引越荷物」は別の枠
ここで多くの説明が混同しています。海外旅行者の免税範囲は、その他の品目について海外市価の合計20万円までで、携帯品と別送品は合算されます。家財一式がこの枠に収まるはずがありません。
しかし帰国者には別の枠があります。税関のカスタムスアンサー7301は「引越荷物」を、生活の本拠を日本に移すために入国する人が携帯・別送する、本人と家族が使うもの・職業上必要なもので、個人的な事情に照らし相応と認められるもの、と定義しています。そして条件をこう書いています。
日本から外国へ住所を移転し、外国に1年以上居住していた場合、また日本に住所を有しない者が日本に住居を設定して1年以上滞在する場合で、入国後6ヶ月以内に輸入する品物に限り免税となります。
つまり、分かれ目は「外国に1年以上居住していたか」です。1年以上なら引越荷物として扱われ、20万円の枠とは別に免税になります。そして、別送品が日本に着くのは入国後6か月以内でなければなりません。LAから日本への船便は通常この範囲に収まりますが、荷物を倉庫に預けたまま帰国し、あとで送る計画には効いてきます。
車は例外です。税関は、入国前に使っていた自動車について一般の貿易貨物と同じ輸入申告が必要だとし、「自動車等の引越荷物免税申請書」(税関様式T1280号)3通と、外国での登録書等、住所移転の証明を求めています。免税は、輸入許可の日から2年以内に転売・譲渡しないことが条件です。
車を手放したら、5日以内にDMVへ
California DMV は、車を売却・譲渡して引き渡した日から5暦日以内に届け出るよう法律で義務づけられている、としています(CVC §5900)。届出は Notice of Transfer and Release of Liability(NRL、書面なら REG 138)で、DMVが受理すると、売却日以降の駐車違反・交通違反・民事訴訟の責任は次の所有者に移ります(CVC §5602)。
帰国する人にとっての意味は単純です。出さないまま日本に帰ると、買主が切られた駐車違反の請求は、あなたのところに来続けます。しかもDMVは「情報に欠落があると車両記録を更新できず、責任免除の資格を失う場合がある」と明記しています。オンラインで提出した場合、記録は1営業日以内に更新されます。
現金を持ち帰るなら、しきい値は日米で違う
両国とも申告制度がありますが、金額が同じではありません。
CBPは、アメリカに出入りする際、1万ドルを超える通貨・貨幣類は FinCEN Form 105 で申告する必要がある、としています。ここに罠が1つあります。CBPは「When families or groups are involved, the $10,000 threshold applies to the total amount they are carrying or sending collectively, not per individual」と書いています——家族で分けて持っても、合算で判定されます。申告しなかった場合、没収・押収のほか、民事・刑事の罰則がありうるとされています。
一方日本の税関は、100万円相当額を超える現金・小切手・約束手形・有価証券について「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」の提出を求めています。純度90%以上の金地金は1kg超で申告対象です。
100万円は1万ドルよりかなり低い金額です。アメリカ側では申告不要でも、日本側では申告対象になる帯が存在します。片方だけを調べて「1万ドルまで大丈夫」と判断すると、着いた先で外れます。
年金は「返ってくる」ものではなく「つながる」もの
米国社会保障庁が公表している日米社会保障協定の内容は、次のとおりです。
- アメリカで働いた期間が足りず米国の年金の受給資格に届かない場合、日本の期間を合算して部分的な米国給付を受けられる可能性があります。ただし、そのためには米国で最低6クレジット(おおむね1年半)が必要です。
- すでに米国だけで受給資格を満たしている場合、米国は日本の期間を合算しません。
- 逆に、日本の給付のために米国の期間を合算するには、日本の制度で最低1か月の加入期間が必要です。
- 片方の国に申請し、もう一方の国への請求として扱うよう依頼できます。各国が自国の法律で処理します。
同じページには「6か月以上拠出した外国人労働者が離脱時に部分的な還付を受けられる」という説明もあります。これは日本の国民年金・厚生年金についての脱退一時金の話であって、米国側の話ではありません。米国のソーシャルセキュリティ税に、帰国者向けの払い戻し制度がある、とはこのページのどこにも書かれていません。読み違えやすい並びなので注意してください。
日本に着いてから:期限のある届出は2つ
転入届は、転入した日から14日以内です。根拠は住民基本台帳法第22条で、同法第52条第2項は「正当な理由がなくて…届出をしない者は、五万円以下の過料に処する」と定めています。期限があること自体が知られていない届出です。
在留届の帰国・転出届は、外務省のオンライン在留届(ORRネット)から提出します。海外に3か月以上滞在する日本人には旅券法第16条により在留届の提出義務があり、その裏返しとして帰国時の届出があります。ORRネットは対象を「日本に帰国する予定が決まった方、既に帰国した方」としており、帰国後でも提出できます。USPSの転送届とは対照的です。
順番をどう決めるか
締切の性質が違うので、まとめ方も分かれます。
- 動かせない長い時計:ペットの210日。これだけは帰国日そのものを決めます。犬猫がいるなら、他の何よりも先に着手してください。
- 狭い窓:IRSの16日間。出発日が固まらないと申請できず、固まってからでは予約が取れない可能性があります。出発日を決めた瞬間に予約を取るのが実務的です。
- 出国前に窓口へ行かないと消えるもの:USPSの転送届。
- 手放した瞬間から数える5日:DMVのREG 138。
- その場で紙を出すもの:入国時の携帯品・別送品申告書2通。
- 帰国後でも間に合うもの:転入届(14日以内)と在留届の帰国・転出届。
関連する情報は 日本→LA引っ越しチェックリスト、LA日系引越し業者まとめ、カリフォルニアの確定申告ガイド、LA自動車保険の選び方 も参考になります。
このページの訂正について
このページは以前、アメリカから日本への引越し費用・家具処分費用・車の売却準備費用について、金額の目安を範囲で掲載していました。いずれも出典を確認できなかったため削除しました。当サイトは現在、この3つについて金額を掲載していません。国際引越しの費用は、荷物量・輸送手段・時期・保管の有無で大きく変わり、公的機関が公表する価格表が存在しないためです。見積もりは複数社から書面で取ってください。
また、郵便の転送について、アメリカ国内の引越しと同じ手続きで済むかのように書いていました。実際には国外への引越しは窓口での本人確認が必要で、出国後は申請できません。上のセクションのとおりに訂正しています。
あわせて、記事内から2件のリンク切れ(当サイト内の存在しないURL)を修正しました。
このページが答えていないこと
- 国際引越しの実際の費用(公的な価格出典が見つからないため、金額を掲載していません)
- IRSの出国許可が実務上どの程度求められているか(IRSは運用実態を公表していません)
- H-4ビザが免除対象になるかどうか。IRSの免除リストは「学生・実習生・交流訪問者とその配偶者・子」というカテゴリの中にH-4を挙げており、H-1B保持者の配偶者としてのH-4が含まれるかは、このページの記述だけでは確定できません
- 401(k)・IRAを帰国後にどう扱うか(一次情報での確認が済んでいないため、何も主張していません)
- 米国の年金を日本在住のまま受け取る際の手続き
- 日本帰国後の健康保険・国民年金の加入手続き
確認元
- IRS|Departing alien clearance (Sailing permit)
- USPS|Change of Address / Mail Forwarding
- USPS|Domestic Mail Manual 507
- 税関|別送品手続(渡航先から荷物を送る)
- 税関|「携帯品・別送品申告書」の提出について
- 税関|海外旅行者の免税範囲
- 税関|カスタムスアンサー7301 引越荷物の輸出入手続
- 税関|支払手段等の携帯輸出入の手続
- U.S. Customs and Border Protection|Money and Other Monetary Instruments
- 動物検疫所|Import dogs and cats into Japan (from non-designated regions)
- 動物検疫所|犬、猫の日本への入国(指定地域編)
- 動物検疫所|犬、猫を輸入するには
- California DMV|Notice of Transfer and Release of Liability
- U.S. Social Security Administration|Totalization Agreement with Japan
- 外務省|オンライン在留届(ORRネット)
- e-Gov法令検索|住民基本台帳法
本ページの内容は、上記の公式情報を 2026-09-10 に取得して整理したものです。締切・様式・免税範囲・しきい値はいずれも予告なく変わります。手続きの直前に、各リンク先で必ずご確認ください。





